(画像引用:提携航空会社 | カタール航空)
近年の航空会社では、サービスの拡大とノウハウの共有のためにアライアンス(航空連合)を組むことが多く、現在ではスターアライアンス、ワンワールド、スカイチームと3つの巨大なアライアンスが形成されています。
このうち日本における航空会社として日本航空JALはワンワールド、全日空ANAはスターアライアンスに加入しています。
アライアンスと世界一周航空券
各アライアンスの加盟会社は
スターアライアンス:28社
スカイチーム:20社
ワンワールド:14社
となっており、スターアライアンスが一番大きなアライアンスとなっています。
ではこのアライアンスを組むことで、航空会社の利用者はどのようなメリットを受けることができるのでしょうか。
メリットとしては提携航空会社の利用でもマイレージを貯められることや、上級クラスの利用客や上級会員だとラウンジが相互利用ができるなどといった点が挙げられます。
またアライアンスを組むことにより世界中にネットワークを広げることができるので世界一周航空券という航空券を販売することができます。
余談ですが、ひと昔には単独の航空会社が世界一周の路線を持っていたりしたそうです。
実際にパンナムは
・ニューヨーク⇔ロンドン⇔イスタンブール⇔カルカッタ⇔バンコク⇔マニラ⇔上海⇔東京⇔ウェーク島⇔ホノルル⇔サンフランシスコ⇔ニューヨーク
であったり
・ニューヨーク⇔ロンドン⇔フランクフルト⇔テヘラン⇔カラチ⇔デリー⇔バンコク⇔香港⇔東京⇔サンフランシスコ
といった路線を運航しています。
(画像引用:パンナム:PAN AM、パンアメリカン航空の世界一周便 1977年タイムテーブル | Global 旅日記)
また日本航空も連続航空事故を起こす1972年まで
・東京⇔香港⇔バンコク⇔ニューデリー⇔テヘラン⇔カイロ⇔ローマ⇔フランクフルトまたはパリ⇔ロンドン⇔ニューヨーク⇔サンフランシスコ⇔ホノルル⇔東京
という路線の運航を行っています。
(画像引用:http://www.tt-museum.jp/growing_0290_jal1967.html)
話がかなり脱線してしまいました。現在の世界一周航空券の話に戻りましょう。
一般的に世界一周航空券は各アライアンスごとに販売されているのですが、マイルを貯めることで世界一周航空券を発券することもできてしまいます。
例えば世界一周の航空券を専門に扱う旅行代理店の「世界一周堂」さんではワンワールドの距離制の世界一周航空券「グローバル・エクスプローラー 」を以下の料金で買うことができます。
(画像引用:グローバルエクスプローラー/世界一周堂)
こちらは35万程度で世界一周できますし、マイルも貯まるので、自分で1区間づつ購入するよりははるかにお得です。
一方ビジネスクラスになると34,000マイル以内の旅程を組んで78万円となっています。一般的にビジネスクラスはエコノミーの3倍程度の値段がしますので、エコノミーに対してビジネスの航空券の金額が2倍よりも少ないというのはかなりお得です。
しかしお買い得といっても、やはり金額が大きいので世界一周航空券の購入はためらわれてしまいます。
そこで考えられるのがマイルを使った世界一周航空券の発券です。
JALマイレージバンクではマイルを使ってワンワールドの世界一周航空券を発券することができます。
JALマイルで世界一周
JALのマイルを使ったワンワールドの特典航空券はこちらのページに詳しく書かれています。
この特典航空券のルールとしては
・途中降機(24時間以上の一都市滞在ならびに地上移動区間)は、旅程全体で7回まで
・欧州域内での途中降機は、あわせて7回まで
・1特典で、1つの都市は3回までご利用いただけます。(途中降機は1都市1回まで)
となっています。
この特典航空券でもちろん世界一周旅程を組むことはできますが、マストではありません。
ANAマイレージクラブでは世界一周特典航空券というものがあってこれは発着地に必ず帰ってこないといけないので、それよりJALはいくらか使いやすいかもしれません。
しかしこのチャートを見ていただけると明らかなのですが、総距離が長ければ長いほど利用者にとってはかなり有利です。
1~4,000マイルの旅程の場合、ビジネスクラスで48,000マイルが必要ですが
14,001~20,000マイルの場合、ビジネスクラスで120,000マイルとなっています。
旅程自体は5倍になっているにも関わらず必要マイル数は2.5倍です。
また上級クラスであると2015年11月からの改悪の影響を受けていない14,000~の旅程がおすすめです。そうなると必然的に世界一周旅程やそれに準ずる旅程になりそうです。
JALの公式ホームページにもモデルプランが載っています。
しかしどうせならもっと北に南に動き回ってみたいですよね。
そこで私なりにいくつかモデルプランを考えてみました。
まずは忙しい方向けのシンプルなモデルプランです。
モデルプラン
北半球を三角飛び:東京⇔ロンドン⇔ニューヨーク
TYO-LON:東京ーロンドン(6,214マイル)
LON-NYC:ロンドンーニューヨーク(3,457マイル)
NYC-TYO:ニューヨークーロンドン(6,723マイル)
総旅程距離としては16,394マイルになります。この場合ビジネスクラスで12万マイル、ファーストクラスで17万マイルです。特典航空券でとれるかどうかは別にして、3区間すべてでファーストクラスの設定があると思うので、ファーストクラスに乗る場合、長距離国際線1区間当たり6万マイル以下です。
しかし曜日を選べば、JALマイレージバンクでJALファーストクラスは東京⇒北米片道55,000マイル。東京⇒欧州片道6万マイルですので、あまり変わらないとも言えます。ただ、曜日に関係なく取れるということと、ワンワールド加盟会社のブリティッシュエアウェイズに乗ることも可能ですので、十分おすすめの旅程です。
また14,001-20,000マイルまでは必要マイル数が一緒なのでもう少し寄り道ができそうです。香港経由にしてみます。
TYO-HKG:東京ー香港(1,823マイル)
HKG-LON:香港ーロンドン(5,965マイル)
LON-NYC:ロンドンーニューヨーク(3,457マイル)
NYC-TYO:ニューヨークーロンドン(6,723マイル)
総旅程:17,968マイル
きれいな台形のルートになっています。
ファーストクラスの場合4区間飛んでこちらも必要マイル数は17万マイルなので、1区間あたり4万マイルちょっとです。ビジネスクラスなら1区間3万マイルですので破格です。
もうすこし頑張れそうです。香港からドーハまで飛んでみます。
TYO-HKG:東京ー香港(1,823マイル)
HKG-DOH:香港ードーハ(3,688マイル)
DOH-LON:ドーハーロンドン(3,403マイル)
LON-NYC:ロンドンーニューヨーク(3,457マイル)
NYC-TYO:ニューヨークーロンドン(6,723マイル)
総旅程:19,094マイル
しかしここで少し困った問題が、香港ードーハはカタール航空のみの1日2便ですがファーストクラスの設定がないようです。
では香港経由にしてバンコクに向かいましょう。
TYO-HKG:東京ー香港(1,823マイル)
HKG-BKK:香港ーバンコク(1,049マイル)
BKK-DOH:バンコクードーハ(3,046マイル)
DOH-LON:ドーハーロンドン(3,457マイル)
LON-NYC:ロンドンーニューヨーク(3,457マイル)
NYC-TYO:ニューヨークーロンドン(6,723マイル)
総旅程:19,501マイル
香港からバンコクへはキャセイパシフィックがファーストクラスを設定してますし、バンコクからドーハまではカタール航空がファーストクラスを設定しています。
キャセイパシフィック
最終的に6区間でファーストなら17万マイル、ビジネスなら12万マイルとなりました。
今回取り上げた、世界一周旅程は距離が20,000マイル以内で北半球のみのルートですが、ワンワールドは南米に強みを持っているので南半球を含めた旅程も面白そうです。
ファーストクラスの旅程はファーストクラスの設定路線が少ないので制限がありますが、ビジネスクラス利用ならかなり自由なルーティングが可能になりますね。
ワンワールドのカンタス航空もファーストクラスを持っています。
機会があれば発券してみたいと思います。